• HOME > 理事長挨拶

理事長挨拶

日本産婦人科手術学会 理事長 万代 昌紀

この度,日本産婦人科手術学会の理事長にご推挙いただきました。責任の重さを痛感している次第です。このHPにもありますように、本会は1978年に小倉知治先生を発起人代表として第1回の研究会を大阪で開催し,150名の参加のもとに「腹式子宮全摘術」について討論したのが始まりです。第15回(1993年)からは日本産婦人科手術学会となり、現在まで関場,野澤,星合の3理事長のもとに発展をとげ、さらに平松前理事長が精力を傾けて牽引して来られたことによって今日の確固たる地位を築くに至りました。

このように本学会は発足当時から“手術手技”について検討する会であることを特徴として参りました。産婦人科にはほかにも手術に関連する学会がいくつかありますが、それらが認定制度であったり、症例登録や調査の役割を担ったりしているのに対して、本学会は、手術が好きなもの同士が集まって、手術の手技については上下に関係なく率直に自分の思っていることを表明することができ、実践的な議論ができる場として、いわば研究会的な雰囲気を大切にしてきました。私自身もよい歳になりながら、いまだに現場を離れられず、若い先生に(おそらく)嫌がられながらも手術室へ出向かない週はなく、他人の手術を見ているだけでも楽しいと思える人間で、平松前理事長に、後任をやって見なさいとおっしゃっていただいたのも、まだ、現場の感覚を失くしていないと思われたからでしょう。本学会の立ち位置に関してはこれまでもさまざまな議論があったと平松先生から伺っておりますが、その過程で「手技・技術を中心として行く」と定めた方向性は今後も学会のよって立つべき方針として大切にしていきたいと思っております。

実際、昨今の手術療法における変化・革新は著しいものがあり、そのための制度を整えることも重要ですが、技術革新による手術手技の変化にまずはきちんと対応することが婦人科手術における一丁目一番地であることは明らかです。その意味で、「手術手技・技術を中心とした学会」である本学会の役割は、今後、ますます重要になると思われます。例えば、手術解剖の捉え方は、鏡視下拡大手術の導入で大きく変わりました。腹腔鏡手術は視覚情報に基づく客観的な手術技術の評価を可能にし、技術を議論する手段を大幅に向上させました。ロボット手術はさらにIT技術を取り入れつつ、すでに遠隔手術も視野に、手術のプラットフォームまでも大幅に変革しようとしております。まさに「技術面において議論すべきことが山積している」のが昨今の、さらに今後の状況です。そして、このような最新の技術をフランクに議論する過程の中から、これらを使いこなしつつ次世代の手術を開発できる人材の育成につながると考えられます。これからは、「教育」さえも技術のひとつとなるからです。

毎年の学術集会のたびに顔なじみの仲間が集まり、1年間の産婦人科手術の課題を真剣に議論する「大きな同窓会」のような学会であり続けられるよう、若輩ながら多くの先生方のご助言をいただいて頑張りたいと存じます。なにとぞよろしくお願いいたします。

ページ上部に戻る